作業現場での暑さ対策と作業服は、近年、熱中症予防の観点から極めて重要度が増しています。
特に、2025年6月1日からは職場での熱中症対策が法令で義務化され、**WBGT値(暑さ指数)**に基づいた対策の実施が求められています。

現場の暑さ対策と作業服選びのポイントを詳しくご紹介します。

1. 暑さ対策の基本と作業服の役割
熱中症予防は、**「環境」「作業」「個人」**の3つの側面からの対策が基本です。
対策の側面 具体的な対策例 作業服の役割
環境:休憩所の整備(エアコン、ミスト)、遮光、換気、WBGT値の測定 遮熱性、UVカット機能で外部からの熱を遮断
作業:休憩時間の確保、水分・塩分補給、作業負荷の軽減、作業手順の調整 空調服、冷却ベストなど「冷却機能」を提供する
個人:健康状態の把握、通気性・吸汗性の高い作業服の着用 吸汗速乾、接触冷感、通気性で体温調節をサポート

2. 最新の暑さ対策作業服とその選び方
現在の作業服は、単なる保護服ではなく、積極的に体を冷やす冷却デバイスとしての機能を持っています。

① 空調服®・ファン付き作業服
服に搭載されたファンで外部の空気を取り込み、汗を蒸発させることで涼しさを得るウェアです。
選び方のポイント:
パワー・バッテリー容量: 大風量で長時間稼働できるバッテリーを選びます。最近は20V以上のハイパワーファンも増えています。
素材: 空気漏れを防ぐ高密度な素材が基本ですが、より涼しさを求めるなら裏チタンコーティングや遮熱加工が施されたものを選ぶと、服自体の温度上昇を抑えられます。
安全性: 高所作業をする場合は、フルハーネス対応モデルを選びましょう。

② ペルチェベスト・冷却ベスト
半導体の冷却素子(ペルチェ素子)や保冷剤を使って、体の特定の部位(首、脇、背中など)を直接冷やすベストです。
選び方のポイント:
冷却位置: 太い血管が通る首元や脇を重点的に冷やせる設計が効果的です。
冷たさの即効性: ペルチェ素子は電源を入れるとすぐに冷たさを感じられるのが特長です。
空調服との併用: ペルチェベストは空調服と併用することで、相乗効果でより快適になります。

③ 接触冷感・吸汗速乾インナー
空調服や通常の作業着の下に着用することで、汗を素早く吸収・乾燥させ、肌に触れるとひんやり感じるインナーです。
選び方のポイント:
接触冷感値(Q-max値): この数値が高いほど、肌に触れた瞬間に冷たく感じられます。
コンプレッション: 疲労軽減効果も期待できますが、締め付けが強すぎると血流を妨げる場合があるため、試着して適度なものを選びましょう。
長袖を推奨: 日焼けや火傷の防止になり、空調服の効果を最大限に引き出すためには、風を循環させやすい長袖が推奨されます。